徒然なるブログ

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【紹介】私が『やがて君になる』を勧める理由

 仲谷鳰先生による百合漫画、『やがて君になる』の最終巻発売から一週間が経ちました。もっと多くの人に『やがて君になる』を知ってもらいたい、そう思ってブログを始めたと言っても過言ではありません。

 

やがて君になる』との出会い

 私が『やがて君になる』(以下、やが君)を知ったのは2018年の秋にアニメ化されたときでした。

 PVを見たときに心を惹かれるものがあったのですが、あらすじを見て百合(女性同士の恋愛もの)と知ったとたんに興ざめしてしまいました(すさまじきものですね笑)。しかし、ネット上の反響やどうしても気になったのもあり観てみることにしました。

 

 雷に打たれた気分でした。

 

 百合だからという理由で避けようとしていた過去の自分を殴りたくなりました。自分の中でも衝撃を受けた作品の一、二を争うでしょう。

 さて、私の話はこれぐらいにしてやが君の魅力を話していきましょう。

 

やがて君になる』の概要

 この作品は『月刊コミック電撃大王』にて2015年6月号から2019年11月号まで連載されていました。

 前述した通り2018年秋にアニメ化したほか、2019年5月に舞台化もされました(2020年秋にencore上演予定)。さらに入間人間先生によるサイドストーリー小説の『やがて君になる 佐伯沙弥香について』(既刊2巻、2020年春に第3巻発売予定)、公式アンソロジーコミックなど様々な方面に広がりを見せています。

 今年9月に完結してなおカーテンコールプロジェクトが進み、その熱は一向に冷める気配がありません。

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やがて君になる』カーテンコールプロジェクト一覧

 簡単にやが君のあらすじを紹介していきましょう。

人に恋する気持ちがわからず悩みを抱える新入生・小糸侑は、生徒会の先輩・七海燈子が告白を受ける場面に遭遇する。誰からの告白にも心を動かされたことがないという燈子に共感を覚える侑だったが、やがて燈子から思わぬ言葉を告げられる。「私、君のこと好きになりそう」(単行本1巻あらすじより)

 このあらすじが原作第1話、そしてアニメ第1話の内容にあたります。各電子書籍サービスの試し読みで該当範囲を読むことができると思います。動画配信サービスでもアニメ第1話は無料で見ることができるでしょう。気になった方は是非見てみてください。

 

やがて君になる』の魅力

 ここまでやたら前置きが長くなってしまいましたがここからが本題です。魅力は人によって異なると思いますが、ここでは私の思う魅力について語っていきます。

 

登場人物

 当たり前のことと思うかも知れませんが、登場人物のキャラがコロコロ変わったりすれば物語として成り立ちません。やが君の中でも重要な3人の人物について紹介しましょう。

小糸侑

 本作の主人公的人物で高校1年生。先に挙げた通り恋する気持ち、誰かを特別と思う気持ちがわからない人物です。

 優柔不断なところがあり部活動を決められずに悩んでいたところで、生徒会活動に誘われます。ただ、自分の意見をはっきりと言う場面もあり芯が通っています。

 

七海燈子

 侑が初めて生徒会室に来た時に告白されていた2年生。燈子の「好きって言われてどきどきしたことない」という言葉に侑は共感します。

 のちに明らかになりますが、燈子が生徒会にいる理由など中身が読めない人物です。また、侑に対して「好きになりそう」と言った訳は燈子の恋愛観や経験が大きく関係しています。

 

佐伯沙弥香

 燈子を支える役回りの2年生。頭がよく(燈子は沙弥香よりも成績優秀です)周囲の様子がわかってしまうからこそ、躊躇してしまう部分があります。

 詳しくはサイドストーリーの佐伯沙弥香についてを読むと更にわかります。

 

 登場人物も魅力的ですが、その登場人物たちが変わっていく過程もしっかりと描かれています。タイトルの『やがて君になる』もそのような意味が込められているものなのかもしれません。

 今回は紹介しませんでしたが、他にも侑の友人や生徒会メンバーなど魅力的な登場人物がやが君にはたくさんいます。

 

卓越した恋愛観

 やが君の中では「好き」という言葉が何度も出てきます。

「好きって〇〇な言葉」や「好きって□□なことだと思ってた」といった表現が多いです。

 時折、「君たち高校生だよね?」と聞きたくなるぐらい登場人物の恋愛観には衝撃を受けます。ここがやが君の魅力だと私は思います。表現を生み出した作者の仲谷先生は、「自分の書きたいように書いた」と言っているのもまた驚きです。

 

やがて君になる』は百合なのか?

 ここまで魅力を紹介してきましたが、「でも百合はちょっと……」と思う人もいるかもしれません。まず言っておきたいのは私は百合が苦手な人にこの作品を強制するつもりは全くありません。興味を持ってくれたら読んでみてほしい、そんな思いで書いています。

 

 ネット上では「これは百合ではない何かだ」という意見と「百合であることは違わない」という2つの意見を見かけます。私の個人的な考えを言えば、

 

百合であるが、百合であることを忘れてしまう作品

 

だと思います。

 作中に女性同士の恋愛であることに戸惑う描写があることから、百合であると考えます。男女恋愛にするとこの描写が成りたたなくなるからです。

はじめはおかしいと思った

女同士なんて(単行本3巻より) 

  ただ、読んでいくと繊細な恋愛描写から百合であることは気にならなくなります。「これは百合ではない何かだ」という意見にも納得できます。

 舞台版で佐伯沙弥香を演じた礒部花凜さん(私の好きな舞台女優ですがそこは置いといて……)もパンフレットで次のように話しています。 

他の人がこの作品のことを「百合だよね」って言っているのを聞いて、初めて「そうだったよね」って思ったぐらい、何も意識はしていなかったです。 (『舞台やがて君になる』パンフレットより)

  だから私の結論としては、百合であることは確かだが、そう感じないぐらい描写が美しいということです。

 

まとめ

 ここまで長々と話してきましたが(もうすぐ2500字を越えそうです)、このブログを通して『やがて君になる』に興味を持ってもらえればいいなと思います。

 私は百合を見たことがないのに嫌うという、食わず嫌い的な考えでした。しかしこの作品を通し、百合の良さについても知ることができました。完結後もやが君の読者が増えることを願っています!